2008年08月06日

[ベトナム]PCI幹部が逮捕

大手コンサル会社「PCI」元幹部らが、ベトナムでのODA事業受注の見返りに、ベトナム政府担当者に賄賂を渡したとして逮捕されました。
賄賂の金額は工事受注金額の10%、3億円と程度とされています。

まあ、氷山の一角でしょうね、ベトナムでは。

ベトナムでこの件がどのように報道され、そしてどのような捜査がされるのか楽しみです。
まあ、ろくに捜査もされないでしょうし、良くて「トカゲの尻尾切り」で終わるでしょう。

そもそもベトナムにはこのような賄賂にたいする罪悪感というものは一切ありませんし、政府や官公庁のそれなりの立場の人の『特権』とされています。
そのために、特権が得られる役職に就く努力をベトナム人はします。
このような賄賂は政府ODAに限ったことではなく、ベトナムの民間レベルでも当たり前なことです。

アメリカでは税金を利用する海外ODAに関しては賄賂や不正利用がないかの査察が行われ、すでに100件以上の摘発事例があるそうです。
日本では今回が2件目の摘発事例です。
つまり日本政府はODAの使途や不正利用の調査さえしていないのです。
賄賂により日本のODAが海外での工事などをどんどん受注しているために、他のODA拠出国からは、日本のODA事業の倫理観についても疑問視されているのも事実です。
つまり賄賂を要求するベトナムだけが悪いのではなく、それを「NO」と否定しない日本側にも問題はあるということです。


そういえば私はタイ時代に、タイ人社員の技術教育に日本のODAを使おうと検討したことがありました。
バンコクにあるそのODA担当の日本の某省庁の出先機関の日本人責任者からも、「このODAを使うならば、、、」と切り出され、それが賄賂の要求でした。

政府ODAについて、日本人が日本人相手に賄賂要求をしてきたのです。
私はその場で契約書を破り捨て、結局このODAは使いませんでした。会社の金での社員教育に切り替えました。
私の判断に、その出先機関の日本人責任者は「このODAを使わずに自前でやった方が、最終的に御社の支出は多額になってしまうのに」と非常に驚いていました。
また「○○社や●●社はこのようにしてこのODAを使っているのに」と、誰でも知っている日本の大手企業の名前をたくさん連ねていました。

もしあのときの会話を録音されていたらとか、このその出先機関の日本人責任者は考えないのでしょうかね。
そこまで危機感がなくなっているぐらいこのODAと賄賂は慣習化されてしまっているのでしょうかね?

確かに賄賂といっても、莫大な金額ではないし、ODAを利用することは、ODAをする方も、ODAを受ける企業もハッピーなんでしょうが、やはり私は納得行かずにこの案件を中止しました。
私のタイ人スタッフも私の判断に驚いていました。
私の判断を「青臭い世間知らずのガキ」という人もいますが、私の倫理観では受け入れることが出来ませんでした。

私はこの件で告発とかそういうことは考えていませんので、その手の方々からのお問い合わせは無視します。
(以前、似たようなことを書いたら正義感満々な個人や団体から多数の問い合わせがあって驚きました(笑))



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siam_breeze@モバイル/SAMSUNG OMNIA
posted by siam_breeze at 07:49| ハノイ ☀| Comment(4) | TrackBack(0) | ベトナム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
私は御用新聞Vietnam Timesの愛読者ですがw この記事は載っていませんでしたね〜
いや本当にVietnam Timesは糞つまらない政府幹部発言をこれだけ美しい英語になおせるのか!という観点で勉強になるし、行間を読むのも楽しいです(−−)
賄賂または袖の下が横行するのは途上国ではどこでも見てきましたが、個人的にベトナムに来て一番ショックだったのが「富裕層の倫理観の欠如」です。たとえ見栄でもいいから、もう少し貧困層や故郷の村に対して病院や学校を建てたり寄付をしたり「施し(いやな言葉ですが)」をすればいいのに、と寺に山積みされた供物を見るたびに暗澹たる気持ちになります。
日本のマスゴミはベトナムの負の面をまず書きませんが、少なくともハノイは病んでいますよね…
Posted by タイ湖の住人 at 2008年08月06日 08:58
日本という国は、ODAまたは特別円借款などのかたちで世界の多くに”施し”をしているのですが、関係の無い国々はもちろん、実際に多額の施しを受けている国々からも、たいした評価は受けていませんね。中国なんぞは国民にその事実まで隠そうとする有様ですし。(但し、ベトナムでは結構ウケが良いと、Siamさんからの報告あり)
民間レベルでは、日本の企業は思うように袖の下を振れずに、各国の大盤振る舞いを眺めながら悔しい思いをしていることのほうが多いようです。
貧乏な日系開発会社は、人脈だけが頼りです。お金のかからない人脈づくりは、なかなかしんどいものですよ。無い袖は振れないので、頑張るのみです。
Posted by 白 at 2008年08月06日 10:11
今回のODAの問題ですが私は以前からODAは日系企業が受け持つことを原則としてしまえば良いと考えています。そうすればおかしなワイロは少なくなると思います。やはり日本人の稼いだお金から税金が支払われてそれがODAに使われるのですから日系企業に還元されても、ODAでお金が使われることが目的ではないので問題ないと考えています。
中国でODAで作った発電所が中国の民間企業に転売されたという話を聞いた事がありますが開発途上国ではODAで使われるお金の透明性を証明するのは大変に難しいと思います。だとしたら日系の企業が仕事を取れるのであれば、ODAのポリシーにはそぐわないかもしれませんがODAの目的は果たせるわけですので良いのではないかと思います。
Posted by なじゃ at 2008年08月06日 14:25
★タイ湖の住人さん
私もハノイではVietnam Times読んでいますが、本当に御用新聞ですね。
ベトナム人のメイド(英語は私より堪能)はいつも古いVietnamTimesを持って帰ります。
ベトナムのこの貧富の格差は、貴兄がおっしゃるとおりのことを私も感じます。
実は弊社は政府の援助が行き届かない地方に学校を寄付したりしていますが、これも本来は政府の仕事です。
このあたりがタイとはかなり違います。
また、日本のマスコミもまずベトナムの負の部分を報道することはありませんね。
ベトナムで仕事をし生活していると、頭を悩ます日々というのは貴兄と同じだと思っています。

★白さん
確かに日本のODAという施しが、本当にその国の人に認知されているのか、というと疑問を感じます。
これはベトナムでもタイでも感じていました。
逆に、前にラオスの田舎町パクセーへ行ったときに、メコン川に掛かる橋にさしかかったときに、ソンテウに乗り合わせていたラオス人は「この橋は日本の援助で出来た、サンキューサンキュー」を連発されたことがあります。

ベトナムでのODAですが、確かに私が知る範囲のベトナム国民にはウケはいいようです。
しかし彼らに「施しを受けている」という意識はありません。「日本は金があるんだから、当たり前だ」という意識ですね。

「袖の下」というのは非常に難しい問題ですね、ベトナムでは。

★なじゃさん
なじゃさんのおっしゃることもよく理解できます。
一方で、日本政府が税金ODAを使いたがっている、という現状の中では、非常に難しい部分でもありますね。
やはりODAの使途についてはもっと透明性を持つべきだと考えています。
民間企業で言うところの「株主訴訟」的な要素があってもいいと思っています。
Posted by siam_breeze at 2008年08月06日 16:08
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