2009年04月06日

[ベトナム]一号線を北上せよ!足で越えろ、中越国境! その3(凭祥(ピンシャン)へ向けて)

友諠関で軽バンタクシーに乗り込み、いざ凭祥(ピンシャン/PingXiang)へ!
凭祥(ピンシャン/PingXiang)は、いわゆる国境に一番近い街。
友諠関から約20km北上したところにあります。

ここで、また中国の国力にカウンターパンチをくらいました。

「国境を抜けたら・・・、そこは高速道路だった・・・。」

車が走り出したとおもったら、そこがもう高速道路なのです。
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国境の手前500mまで高速道路が伸びているのです。
この友諠関、中国にとっては南方の一番端っこにある辺境エリア。中央からも華南からも遠い遠い田舎。
しかし、そこま日本の高速道路のような片側2車線の立派な高速道路が通っているのです。
これには正直ショックを受けました。
中国の経済力というのか国力というものを痛感しました。
特にベトナムのハノイからやってくると、これはもう決定的な「格ノ違イ」というものを見せ付けられます。
中国のイミグレの事務所も確かに立派でした。格差を十分に見せ付けていました。
でも、ベトナム側だって同じような立派な建物を建てることぐらいはできます。
しかし、この高速道路、これは、今のベトナムでは無理です。
高速道路建設というのは高度な土木技術も必要ですし、当然ですが資金も必要です。これは今のベトナムの国力では逆立ちしても無理です。
国境を一本越えて500m。
国力の差が一番比較して見えるところかもしれません。
また、経済的にも国力的も強い国は、特に国境付近ではその力を見せつけるのでしょう。
タイとラオスの国境のチョンメックでもタイ側はまさにそれを実行していました。

この高速道路、「南友高速」といいます。
片側2車線の立派な高速道路。
この友諠関から南寧までを結んでいます。
先ほど、「国境の手前500mまで」と書きましたが、帰りにわかりましたが、この高速道路、国境にある「友諠関トンネル」にそのまま繋がっているのです。

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つまり、高速道路の終点が、先ほど足で渡ってきた「国境」なのです。
これはベトナム側にとっては物凄いプレッシャーでしょう。
同時に、中国の東南アジアへの陸上貿易に掛ける強い意志も感じます。

従来、この国境は小口貨物貿易といわれ、金額も物量も大きいものではありませんでした。
近年、徐々に取引量が増えてきて、多い日は一日に1000台以上のトラックが通関するそうです。
それでも貿易としてはまだまだ小口。
しかし、中国はここを東南アジアへの輸出の窓口としています。
この南友高速ですが、南寧まで伸びていますが、たしか南寧から華南までも立派な高速道路か道路がすでに整備されているわけです。
世界の工業地帯の華南から整備された道路一本でこの田舎の友諠関までつながり、いつでも物資の送り込みが出来る体制がすでに整っているのです。
しかし、それを受け入れる側のベトナムは・・・。受け入れるインフラや体制も整っていません。

また、このドンダン・友誼関の国境の近くに、物流のみの国境もあります。
そちらは外国人の行ききはできません。
中国はまた、こちらの方の物流国境も整備しようとしているそうですが、やはり将来的にはこの友誼関国境の方をメインにするのではないでしょうか?


今後の東南アジア経済や貿易を支えるのは「日本が支援する東西経済回廊(ベトナム〜ラオス〜タイ〜ビルマ)」か「中国が支援する南北経済回廊(中国〜ラオス〜タイ)」か、と注目されています。
この南北回廊とは中国の雲南省からラオスへ入り、タイの北部チェンライ、そしてバンコクへ続くルートです。
今いる友諠関や南友高速は南北経済回廊ではありません。
しかし、これだけのインフラをここにすでに準備しているということに、中国の経済力、いや国力を感じずにはいられません。


また、中国の本気さを伺わせるのが、高速道路を10分弱走って出てきた「物流■」(■は「ロ」の中に「元」)。
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この高速道路と直結されている巨大貨物ターミナル、貿易ターミナル、保税区のようなものです。
そしてそこには東南アジア各国の国旗が掲げられていました。
Viet氏も「ここが中国の東南アジア貿易の拠点となる」と言っていました。
中国は陸の孤島ラオスを取り込みながらタイまでの南北回廊を支援して、中国の輸出増加、経済影響力の増加を図っていますが、この友諠関ルートでも同様のことを行おうとしています。
中国の大量の物資(工業製品から農業製品まで)を大量に一気に東南アジアへ流し込もうとしているのです。

実際の数字としては、現在の広西チワン族自治区全体の貿易額の3分の1が、凭祥市の対ベトナム貿易額だそうです。
今後、この数字はますます増加していくことでしょう。


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この南友高速には、立派なサービスエリアもありました。
まるで日本と同じです。ガソリンスタンドも併設されています。
久々に、経済力、国力のある風景を目の当たりにしました。


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高速道路を20分も走ると凭祥(ピンシャン)の出口です。
ここで凭祥に向けて左折をします。


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凭祥と高速道路をショートカットするためにトンネルが出来ています。


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またこの交差点には5つ星ホテルが建設中です。

このあたりになって中国の力の圧倒され口数が少なくなっていたHOK君が話し始めました。
しかし、随所に中国の悪口というかベトナム擁護が多くなってきました。
例えばこのホテルについても、
「5つ星ホテルとして建物は立派なものが出来ても、ホテルの従業員は英語が話せないだろう。中国のホテルはどこも英語が話せない!。」
「サービスも全然ダメに決まっている。その点、ベトナム人は英語が話せる。ホテルではちゃんと5つ星のサービスが出来る。
「ベトナムの方がサービスはとても優秀だ。中国人は英語が話せない」
と。
国境付近で見せていた彼の陽気な笑顔は消えていました。

彼の気持ちがわからないではありません。
私はそれを「うんうん。そうだね」と聞いていました。
間違っても「ベトナムで5つ星ホテルのサービスなんかないだろ」「ベトナム人にそもそもサービスの概念はないだろう」と突っ込むことはやめました。
彼自身もこの道中の会話の中で、「ハノイには人に対するサービスがない」と言っていたばかりですし。
ベトナムからたった1kmも行かない隣国でこれだけのものを見せつけられたら、人間、ネガティブな気持ちになりますよね。
しかもそれを外国人(私と家人)と一緒に目の当たりにしてしまっているのですから。
それに追い討ちをかけるようなことはできません。
私は、やはり、経済的にも発展している国で生まれ育った日本人。
その日本人が冷静に中国とベトナムを比較してしまったら、結果は明らかであり、HOK君もそれに気がついています。
まあ、私が今ここで、ベトナムと中国の比較論を論じても何も生まれません。

ただ、HOK君のような若い人が、中国であれ、その国力、経済力を目の当たりにする、ということは、今のベトナムにとっては必要なことかもしれません。
「何がベトナムに足りなくて」「何をしなくてはならないのか」「何を諸外国から学ぶのか」。
今のベトナム人に期待したいことです。

そんな気持ちを抱きながら、車は凭祥(ピンシャン)の街へ入っていきました。


(その4へ続く)

▼その1はこちら http://siam-breeze.seesaa.net/article/116682996.html
▼その2はこちら http://siam-breeze.seesaa.net/article/116688136.html

posted by siam_breeze at 23:00| ハノイ | Comment(7) | TrackBack(0) | ベトナム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
貴重な体験ですよね。
中国も今でこそこのような状況にあるんだと思います。日本だって、うん十年前は大変だったんだと。
ドイツに住んでいたときも、西欧と東欧の差を感じることは多かったです。なおかつそれぞれの国の方が自分の国を褒め称え、他の国の悪態をつくことも多く目にしました。
HOK君のような若い人が今のベトナムに多いと思います。ぼくの同僚にもベトナム人(日本で働いている)がいますが、将来国に帰って発展に寄与したいと言っています。
日本にはそういった人間が少なくなっている気がしてなりません。逆に自分の国の文句を言う人が多いと思います。そういった事実、若干寂しさを感じます。日本ってすごくいい国なんだけどな。
Posted by Anhelo at 2009年04月07日 00:16
>国境を越えたら圧倒的な差
ラオス-中国(雲南省)国境(ボーテン-モーハン)とまったく同じですね。同所ではラオス側に中国人用カジノがあります。中国に入るとやたら飾り付けた感じで"見せつけ"てくれます。国境を越えて数百メートルで高速道路、というのも同じ。当ブログの写真は去年のものですが今はもう綺麗に完成しています。
下川裕治さんのコラムで「中国からハノイまで高速道路」みたいな記憶があったのですが、まだ(ベトナム側が)完成していないのですね。バンコク-昆明(クンミン)のアジア南北回廊は2011年完成を目指しています。
Posted by Taku(タイで想う日々) at 2009年04月07日 05:03
★Anheloさん
きっと明治時代の日本も同じだったんでしょうね。
まさに黒船が日本の鼻先へやってきたわけですから。
それにしてもこの隣国同士の感情の軋轢はどこも一緒ですね。タイ−ラオス、タイ−ビルマ、タイ−カンボジアしかり・・・。

ベトナム人、勤勉な人はものすごい勤勉だと思います。
しかし、それが国の発展にはなかなか役立っていないと感じます。
国家は「政治家自身の繁栄のため、共産党のみの反映のため」ですし、人民は「自分と家族だけの繁栄のため」だけしか考えられません。
上から下までが「自分だけ良くなればいい」としか考えられないのが、今のベトナムです。

また、一方で日本は、なんというのか「まったり」しているというのか、「甘え社会」というのか・・・。
気迫が無いというのか、必死さがないというのか・・・。
今回の派遣社員問題のニュースなどを見ていて、非常に違和感を覚えます。

★Takuさん
ラオ−中国も同じ状況ですか。
ベトナム側はまだ高速道路が完成していません。
今後整備する気があるのかどうか不明です。
Posted by siam_breeze at 2009年04月07日 14:04
北ラオスに出掛けると中華カラーに汚染されていることが容易に確認できます。
カジノはボーテンだけでなくナムターにも作られています。 無論ラオス庶民はお呼びではありません。
勉強会などでも口を酸っぱくして中華思想と中国人南下政策の危険性を唱えても,暖簾に腕オシ,豆腐にカスガイ,WMにソフトリセットって感じです。
親中派と親越派がいることが,更に power equibrium を複雑なものにしています...。
Posted by Nok at 2009年04月11日 19:49
★Nokさん
中華カラーに汚染、というのはビルマなんかでもそのようですね。
今のラオスは親中派と親越派でわかれているのでしょうか?
Posted by siam_breeze at 2009年04月12日 15:57
親中派と親越派に二分二極化とまでは行きませんが,対立構造は見て取れます。
更にラオ族に対抗するモン族(MonじゃなくてHmongのほうです)が独立運動などを画策する為に非常にややこしいのです。
まぁでも大義名分よりも個人の利益が優先されるのがオチなんですが(笑)。

昨日はタイ側への橋が閉鎖されてました。 おかkげでウドン/ノンカイに出掛けることができず...。 ウドンでも赤シャツが騒いでいるせいでした。
Posted by Nok at 2009年04月14日 19:18
★Nokさん
ラオスも混沌としているのですね(^^;;;
ビルマもかなり混乱しているようですが。

赤シャツ、少しはおとなしくなったみたいですね。
冷静に見てもあれはテロ行為にしか見えなかった。
Posted by siam_breeze at 2009年04月16日 12:11
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